【注意】法解釈が曖昧で間違えてる人も多い“罠”

【解説】士業や芸能人・ホステスに支払う報酬の源泉徴収について

給与の源泉徴収は多くの事業者が日常的に行っていますが、実は「給与」以外にも源泉徴収が必要な支払があります。
それが、報酬・料金に対する源泉徴収です。


1. 報酬の源泉徴収が必要な代表例

  • 税理士・行政書士・司法書士などの士業報酬
  • 芸能人・モデル・歌手への出演料
  • ホステス等への接客料(スナック・クラブなど)

これらは、通常の給与計算とは異なり、「報酬・料金等の支払調書」の対象となります。


2. 誰が源泉徴収するのか?

事業者が士業や芸能人などに報酬を支払う場合、
支払者側が源泉所得税を差し引いて支払う義務があります。

つまり、

  • 税理士に顧問料を支払うとき
  • 行政書士に許認可申請の依頼をしたとき
  • 芸能人をイベントに呼んだとき
    などは、あなたが計算して差し引いた税額を税務署へ納付しなければなりません。

※ 親切な士業の先生は、請求書に「源泉所得税○○円」と書いてくれる場合もありますが、義務は支払者側にあります。

3.税額の計算方法

支払金額(=A)税額
100万円以下A×10.21%
100万円超(A-100万円)×20.42%+102,100円

4. 納付期限は「翌月10日まで」

報酬の源泉徴収税額は、支払月の翌月10日までに税務署へ納めます。
(例)4月15日に支払った場合 → 5月10日が納付期限


5. 間違えやすい「計算期間」の罠

ここが一番ややこしく、実務でも間違いが多いポイントです。
ホステスの源泉徴収の税額は、みなし経費の計算という計算が加わってきます。

計算方法

源泉徴収税額={報酬の額-(5,000円×計算期間の日数)}×10.21%

3月1日〜3月30日までの間に、合計10日間の業務を依頼したケース。
直感的には「10日で計算するのかな?」と思いがちですが…
実はこの場合の計算期間は30日になります。

これは、報酬の源泉徴収における「日額換算」の考え方が、
業務を行った日数ではなく、その業務が行われた期間全体の日数を基準とするためです。


6. 裁判で確定した考え方

この「計算期間」をめぐっては長年あいまいな扱いがされており、税務署と納税者の間で争いになったこともあります。
最終的には最高裁判所の判例「 所得税納税告知処分取消等請求事件(平成22年3月2日判決)」で、

「日額換算の計算期間は、業務提供日数ではなく、業務を提供した期間全体の日数とする」
という考え方が確定しました。

判例URL:
最高裁判所 判例検索システム(外部リンク)


7. 実務ポイントまとめ

  • 士業や芸能人、ホステス等への報酬も源泉徴収対象
  • 支払者が自分で源泉所得税を計算し、翌月10日までに納付
  • 計算期間は「業務実施日数」ではなく「業務提供期間全体の日数」で判断
  • 100万円までは10.21%、100万円以上は20.42%で計算

まとめ

報酬の源泉徴収は、給与の源泉徴収と似ているようで実は全く違うルールが適用されます。
特に「計算期間」を間違えると、税額計算がずれてしまい、大幅に払いすぎてしまう可能性もあります。
正しい計算方法と期限を押さえ、確実に納付しましょう。

不安な場合は専門家(税理士)へ相談しましょう。

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