山口県の車屋さん向け|2026年行政書士法改正で車庫証明・自動車登録はどう変わった?

2026年1月1日、改正行政書士法が施行されました。

自動車業界では、車庫証明や自動車登録の申請書について、 「販売店はどこまで作成できるのか」「代行料を0円にすれば問題ないのか」「陸運局へ持って行くだけならよいのか」 といった点が改めて注目されています。

山口県でも、いわゆる「陸運局」にあたる中国運輸局 山口運輸支局や 山口県自動車会館で、2026年の行政書士法改正に関する案内が掲示されています。

この記事では、山口県の自動車販売店・整備事業者の方にも分かりやすいように、 2026年の行政書士法改正で何が変わったのか、そして何が以前から変わっていないのかを整理します。

この記事を読む前に
以下では行政書士法上、問題となり得る行為を紹介しますが、自動車販売店・整備事業者のすべてが従来そのような運用をしていたという趣旨ではありません。改正前から法令を確認し、申請書作成を本人または行政書士へ委ねるなど、適正に運用してきた事業者も多数あります。

この記事の結論
  • 2026年から突然、車庫証明・自動車登録が行政書士だけの業務になったわけではありません。
  • 今回の改正では、非行政書士による業務制限について「他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という趣旨が条文上明確になりました。
  • 販売店が申請書を作成し、その対価が販売代金・整備代金・手数料等に含まれると認められる場合、行政書士法19条1項に抵触する可能性があります。
  • 「書類を窓口へ持参すること」と「申請書を作成・追記・訂正・補正すること」は分けて考える必要があります。
  • 自動車関係には法令上の例外もあるため、「販売店は一切何もできない」と一括りにすることも正確ではありません。

2026年行政書士法改正で何が変わった?

経過日付
衆議院本会議で可決2025年5月30日
参議院本会議で可決2025年6月6日
公布2025年6月13日
施行2026年1月1日

自動車販売店との関係で特に重要なのが、行政書士法19条1項の業務の制限です。

改正後は、行政書士または行政書士法人でない者について、 「他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」 業として行政書士法1条の3に規定する書類作成業務を行うことができない、という趣旨が明確にされました。

今回の改正のポイント

「会費」「手数料」「コンサルタント料」「商品代金」など、料金の名前を変えれば行政書士法19条を回避できる、という考え方ではないことがより明確になりました。

「2025年まではグレーで、2026年から違法」ではない

今回の改正を、 「それまで合法だった仕事が2026年から突然、行政書士だけの業務になった」 と理解するのは適切ではありません。

日本行政書士会連合会は、今回の改正について、 名目にかかわらず対価を受領し、業として官公署提出書類等を作成することは、 改正前の行政書士法でも19条1項に違反するという解釈を条文上明確化したもの と説明しています。

したがって、「以前はグレーだったから大丈夫だった」というより、 以前から存在した業務制限について、料金名目の付け替えでは回避できないことが、より分かりやすく明文化された と考える方が適切です。

車庫証明・自動車登録|日行連が示した具体例

日本行政書士会連合会は2026年7月、自動車販売会社による登録等の手続について、 「行政書士法違反になるものと考えられる例」を公表しました。

販売店が車庫証明申請書を作成 販売した車両について、販売員が顧客に代わって車庫証明申請書を作成するケース。
顧客・車両データから申請書を作成 販売店の顧客情報や車両情報を使い、販売員が申請書へ入力・作成するケース。
警察署で追記・訂正・補正 提出後に車台番号等を販売員が追記したり、記載内容を訂正・補正したりするケース。
登録申請書を販売員が作成・補正 運輸支局等へ提出する自動車登録申請書について、販売員が作成・追記・訂正・補正するケース。

ここで重要なのは、「つなぎを着ているか」「販売店の従業員か」という外見ではありません。 誰が依頼を受け、誰が申請書等を作成し、その業務についてどのような対価が発生しているのか という実態です。

「書類作成0円・納車準備費○万円」なら問題ない?

料金表に「車庫証明書類作成0円」と書けば、直ちに行政書士法上の問題がなくなるわけではありません。

国土交通省が公表している整理では、一連の登録代行業務への報酬に書類作成の対価が含まれている場合、 行政書士法上の「報酬」に該当し得るとされています。

また、書類作成だけでなく車両の受取り・搬送などを含む一連の作業の対価として手数料を受領している場合には、 契約内容、一連の作業に占める書類作成の重要性、手数料額などを総合的に見て個別判断するとされています。

名称ではなく実態を見る

「登録代行料」「納車準備費」「事務手数料」「書類作成無料」といった名称だけで適法・違法を判断することはできません。

販売店が「提出するだけ」でも行政書士法違反?

ここは、特に誤解されやすいところです。

行政書士法19条1項の業務制限の中心は、対象となる書類の作成です。 したがって、「窓口へ行った人が行政書士ではない」という事実だけで、機械的に行政書士法19条違反になるという整理ではありません。

申請者本人が自分の書類を作成する 本人が自分の申請書を作成することは可能です。
完成済みの書類を運ぶ 単に完成した書類を窓口へ持参したという事実だけで、直ちに「書類を作成した」ことにはなりません。実際の業務内容を確認する必要があります。
窓口で販売員が書き直す 不備を指摘され、販売員が内容を追記・訂正・補正する場合は、日行連が問題となる例として示しています。
本人名義でも販売員が実際に入力する 書類に誰の名前が書いてあるかだけでなく、実際に誰が作成したかが重要です。

山口運輸支局・山口県自動車会館でも2026年改正の案内を確認

山口市には、普通車等の登録手続を行う中国運輸局 山口運輸支局があります。 一般には「陸運局」と呼ばれることもありますが、正式には中国運輸局の山口運輸支局です。

また、自動車関係団体が入る山口県自動車会館でも、自動車業界と行政手続に関する情報が周知されています。

2026年9月、現地で確認したところ、 中国運輸局 山口運輸支局および山口県自動車会館に、2026年行政書士法改正について注意を促す掲示が掲載されていました。

中国運輸局山口運輸支局及び山口県自動車会館に掲示された2026年行政書士法改正の案内
山口市の中国運輸局 山口運輸支局・山口県自動車会館で確認した、2026年行政書士法改正に関する掲示

全国の法改正ですが、山口県の自動車業界にも直接関係します

これは東京など一部地域だけの話ではありません。山口県で車庫証明・自動車登録に関わる販売店や整備事業者も、自社の書類作成フローを確認しておく必要があります。

「自動車関係は全部行政書士しか作れない」とも限らない

行政書士法19条1項には、他の法律に別段の定めがある場合などの例外があります。 また、自動車関係ではOSSを含め、法令上一定の要件のもとで例外となる電子的な手続も存在します。

「全部OK」「全部NG」と一括りにしない

新車新規登録、移転登録、中古車、車庫証明、OSSなど、手続の種類や業務内容によって前提が異なります。具体的な運用に疑問がある場合は、行政書士会や行政書士などに確認するのが安全です。

違反した場合|従業員だけでなく法人にもリスク

今回の改正では、行政書士法19条1項の業務制限違反について、両罰規定も整備されました。

業務制限規定に違反した場合には、行為者が処罰対象となるだけでなく、 従業員等が法人の業務として違反した場合には、法人にも100万円以下の罰金刑が科される仕組みが整備されています。

自動車販売会社にとっては、「販売員個人が知っていればよい」という問題ではありません。 会社として、誰が申請書を作成するのか、窓口で補正を求められた場合にどう対応するのかをルール化しておく ことが重要です。

自動車だけの話ではない|官公署提出書類全般に関係する考え方

今回明確化された行政書士法19条1項の考え方は、自動車登録だけに限定されたものではありません。

官公署へ提出する書類や、権利義務・事実証明に関する一定の書類について、 非行政書士が他人の依頼を受け、名目を問わず報酬を得て業として作成する場合には、同じ行政書士法上の問題が生じ得ます。

ただし、たとえば補助金についても、 経営相談・事業計画への助言と、官公署へ提出する申請書そのものの作成は同じではありません。 制度ごとに申請主体・代理の可否や他法令の規制も異なるため、一律に「民間コンサルは全部違法」とするのも正確ではありません。

山口県の自動車販売店が確認したい社内チェックリスト

  • 車庫証明申請書を実際に誰が作成しているか
  • 顧客情報・車両情報を販売員が申請書へ転記・入力していないか
  • 自動車登録申請書を販売員が作成していないか
  • 「書類作成0円」としながら、販売代金・整備代金・手数料との関係が曖昧になっていないか
  • 警察署・運輸支局で補正を求められた際、販売員がその場で書き換える運用になっていないか
  • 申請者本人に作成してもらう書類と、販売店が行う事務を明確に分けているか
  • OSS等の例外を利用する場合、その要件を確認しているか
  • 社内マニュアルや販売員教育を2026年改正後の内容へ更新しているか

よくある質問

Q1.車屋が車庫証明の書類を無料で作れば問題ありませんか?

「作成料0円」と表示するだけでは判断できません。日本行政書士会連合会は、車両販売代金や整備代金等に書類作成の対価が含まれると考えられる場合、行政書士法違反になるものと考えられる例として示しています。

Q2.お客さんが全部書いた車庫証明を販売店が警察署へ持参するのも違法ですか?

行政書士法19条の中心は報酬を得て業として対象書類を作成する行為です。単に完成済み書類を持参したという一点だけで、直ちに書類作成違反と同一視することはできません。ただし、提出時に追記・訂正・補正を行う場合などは別途問題となり得ます。

Q3.窓口職員から「ここを書いて」と言われた場合も販売員は書けませんか?

日本行政書士会連合会は、警察署や運輸支局等の職員から訂正・補正を求められた場合であっても、販売員が追記・訂正・補正する例を行政書士法違反になるものと考えられる例として示しています。

Q4.2026年から新しく行政書士の独占業務になったのですか?

いいえ。今回の改正は、以前から存在していた業務制限について、「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言を加え、趣旨を明確化したものです。

Q5.会社ぐるみでなく、販売員が勝手にやった場合は会社に責任はありませんか?

個別事情によりますが、2026年改正では両罰規定が整備され、法人の業務として従業員等が違反行為をした場合には法人も処罰対象となり得ます。そのため社内教育と業務フローの整備が重要です。

自社の運用が気になる場合は、専門家へ確認を

「今の登録代行手数料の設定でよいのか」「販売員はどこまで対応してよいのか」など、個別の業務フローについて疑問がある場合は、登録済みの行政書士や行政書士会へ確認することをおすすめします。

山口県内の行政書士については、山口県行政書士会の公式サイトから確認できます。

まとめ|2026年改正は「名目」より「実際の業務」を見直すきっかけ

2026年の行政書士法改正は、「車屋が陸運局へ行けなくなった」という単純な話ではありません。

大切なのは、 誰が書類を作成しているのか、その作成に対する対価がどこに含まれているのか、窓口で誰が追記・補正しているのか という実際の業務フローです。

山口運輸支局や山口県自動車会館でも改正に関する掲示が出ている今、 「今までこうしていたから」ではなく、一度社内の流れを整理してみるよい機会だと思います。

執筆・編集:バクガ総合事務所 時繁 裕也 山口県防府市を拠点に、法務・不動産・地域事業に関する制度情報を、公的資料を確認しながら発信しています。本記事公開時点では、行政書士業務・宅地建物取引業としての受任を前提とした案内は行っていません。