【2026年最新】「空き家税」は全国に広がる?寝屋川市で条例案可決、防府市の空き家所有者が今すぐ確認すべきこと

2026年7月9日、大阪府寝屋川市の市議会で、いわゆる「空き家税」の条例案が全会一致で可決されました。

「空き家を持っているだけで、新しい税金がかかるの?」

「山口県や防府市の実家も対象になる?」

ニュースを見て、不安になった方も多いのではないでしょうか。

先に結論をお伝えすると、全国一律の空き家税が始まったわけではありません。2026年7月10日現在、防府市で寝屋川市と同じ新税を導入するという公式発表も確認されていません。

ただし、「うちは防府市だから関係ない」と安心して、空き家をそのままにしてよいニュースでもありません。

防府市でも、管理状態によっては固定資産税などの軽減措置が外れたり、事故が起きれば損害賠償を求められたり、最終的には行政代執行に至ったりする仕組みが、すでに存在しています。

今回のニュースが示しているのは、空き家が「とりあえず持っておける財産」から、管理・活用・売却・解体の方針を求められる財産へ変わりつつあるということです。

この記事の要点

  • 寝屋川市の「空き家税」は、全国一律の制度ではない
  • 条例案は可決されたが、総務大臣の同意を経て、早ければ2029年度の課税開始を目指す段階
  • 防府市で同じ新税の導入は確認されていない
  • ただし、防府市でも管理不全の空き家は固定資産税等の軽減対象から外れる可能性がある
  • 危険な空き家は行政代執行の対象となり、費用を所有者に請求されることがある

目次

寝屋川市で可決された「空き家税」とは?

今回、寝屋川市議会で可決された制度の正式名称は、「空き家流通促進税」です。

居住実態のない空き家を市場へ出すよう所有者に促し、売却や賃貸によって住宅の流通を増やすことを目的としています。市全域を対象にした同種の税制は、全国初と報じられています。

現時点で公表・報道されている主な内容は、次のとおりです。

項目 内容
制度名 寝屋川市空き家流通促進税、いわゆる「空き家税」
対象 寝屋川市内の居住実態がない空き家の所有者
主な想定対象 賃貸や売却の予定がなく、市場に流通していない空き家約6,400戸
税率 家屋の固定資産税額と、「土地1㎡当たりの固定資産税額×住宅部分の延べ床面積」で算出する額に、それぞれ35%
主な対象外 売却活動や賃借人の募集を始めてから1年を経過していない物件など
開始時期 総務大臣の同意後、早ければ2029年度の課税開始を目指す
現在の状況 市議会で条例案が可決された段階。現時点では課税されていない

ここで注意したいのは、単純に「現在支払っている固定資産税の総額が35%増える」とは限らないことです。土地部分は独自の計算式が使われるため、実際の税額は物件ごとに異なります。

また、条例案が可決されたからといって、すぐに請求が始まるわけでもありません。法定外税の新設には総務大臣の同意が必要で、寝屋川市はその後の調査やシステム整備を経て課税を始める方針です。

一方で、売却や賃貸に向けて動いている物件は一定期間対象外とされるなど、この税の目的が税収そのものよりも、空き家所有者に行動を促すことにある点は重要です。

参考:MBS NEWS「市全域で『空き家税』導入条例案が可決」東京都宅地建物取引業協会「大阪・寝屋川市で全国初『空き家流通促進税』」

全国一律の「空き家税」が始まるわけではない

今回の制度は、あくまで寝屋川市が独自に設けようとしている法定外税です。

したがって、2026年から全国の空き家に一斉に新税がかかる、という情報は正しくありません。防府市や山口県内の空き家に、この条例が直接適用されることもありません。

ただし、自治体独自の課税が寝屋川市だけの動きというわけでもありません。

京都市では、空き家や別荘、セカンドハウスなどの「居住者がいない住宅」を対象とする非居住住宅利活用促進税がすでに制度化されており、システム開発による延期を経て、2030年度から課税を始める予定です。

参考:京都市「非居住住宅利活用促進税について」

つまり、寝屋川市の制度がそのまま全国へ広がると決まったわけではないものの、空き家を市場に出さず保有し続けることに、自治体が税や制度で働きかける流れは現実に始まっていると見るべきでしょう。

なぜ今、空き家への負担が強くなっているのか

総務省の2023年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は900万2,000戸で過去最多となり、総住宅数に占める割合は13.8%です。

そのうち、賃貸用・売却用・別荘などを除いた、いわば使い道が定まっていない空き家は385万6,000戸。1993年から2023年までの30年間で、全国の空き家数は約2倍になりました。

参考:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」

防府市も例外ではありません。

2026年に策定された第3次防府市空家等対策計画では、2024年度の実態調査で「空き家の可能性がある建物」が2,587件確認されています。防府市は今後、空き家の継続調査やデータベース管理、所有者への意向調査、管理不全空家への勧告などを進める方針です。

参考:防府市「第3次防府市空家等対策計画」

今回の「空き家税」は大阪の話ですが、背景にある空き家の増加と管理の担い手不足は、防府市にも共通する問題なのです。

防府市では新税より先に、すでにある4つのリスクに注意

1.固定資産税などの軽減措置が外れる可能性がある

住宅が建っている土地には、通常、固定資産税等の負担を軽くする「住宅用地特例」が適用されます。

固定資産税の課税標準は、200㎡以下の小規模住宅用地で6分の1、200㎡を超える部分で3分の1に軽減されています。

しかし、適切に管理されていない空き家が「管理不全空家」または「特定空家」とされ、市からの指導に従わず勧告を受けると、この軽減措置の対象から外れます。

よく「固定資産税が6倍になる」と表現されますが、正確には、200㎡以下の土地部分について固定資産税の課税標準が最大6倍相当になる可能性があるという意味です。家屋を含む納税額全体が必ず6倍になるわけではありません。

それでも、毎年の負担が大きく増える可能性があることに変わりはありません。

参考:国土交通省「空家法とは」防府市空き家情報サイト

2.瓦や外壁、樹木による事故は所有者の責任になり得る

空き家の屋根瓦や外壁が飛び、通行人や隣家に損害を与えた場合、所有者が損害賠償を求められることがあります。

庭木や竹が隣地へ越境する、雑草が繁茂する、害虫や害獣が発生する、不法侵入や火災の危険が高まるといった問題もあります。

「誰も住んでいないから何も起きない」のではなく、誰も住んでいないから異変の発見が遅れるのが空き家です。

特に台風の後や梅雨明け、落葉の時期は、遠方に住む所有者が気付かないまま状態が悪化しやすいため、定期的な確認が欠かせません。

3.最終的には行政代執行で解体され、費用を請求されることがある

周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家が「特定空家」と認定され、所有者が必要な対応をしない場合、おおむね次のように措置が進みます。

助言・指導 → 勧告 → 命令 → 戒告 → 行政代執行

行政代執行とは、所有者が行うべき危険除去や解体などを行政が代わりに行う手続です。「市が税金で無料解体してくれる」という制度ではありません。

通常の行政代執行だけでなく、所有者が分からない場合の略式代執行でも、法改正により費用を強制的に徴収できる仕組みが整備されています。危険が切迫している場合には、通常より迅速な代執行が行われることもあります。

参考:国土交通省「令和6年度空き家関係予算・改正空家法施行について」防府市「第3次防府市空家等対策計画」

4.時間がたつほど「売る・貸す・使う」の選択肢が狭くなる

空き家は、使わなくても傷みます。

換気や通水が止まり、雨漏りやシロアリ被害の発見が遅れると、当初は軽い修繕で使えた家でも、大規模改修や解体が必要になることがあります。家財が残ったまま相続人が増えれば、誰が片付け費用を負担するのか、誰の同意を得るのかという問題も複雑になります。

防府市の所有者意向調査でも、売却または賃貸を希望した488人のうち、55.7%が「建物や設備の老朽化」、35.5%が「家財道具の整理ができていない」ことを困りごととして挙げています。

空き家問題は、待てば自然に解決することがほとんどありません。むしろ、先送りした時間そのものが費用になることがあります。

「まだ大丈夫」と思っている方のための確認リスト

次のうち一つでも当てはまる場合は、売却を決めていなくても、一度状況を整理することをおすすめします。

  • 半年以上、建物の中を確認していない
  • 台風や大雨の後も、屋根や外壁を確認していない
  • 雑草、庭木、竹、落ち葉の管理ができていない
  • 郵便物がたまっている、または転送状況が分からない
  • 火災保険や地震保険の契約状況が分からない
  • 登記名義が亡くなった家族のままになっている
  • 相続人同士で、使う・売る・解体する方針を話していない
  • 仏壇や家財が残り、片付けに手を付けられていない
  • 近所から連絡が来ても、すぐ現地へ行けない
  • 「いつか考える」と言いながら、1年以上何もしていない

相談したからといって、すぐに売却や解体を決める必要はありません。

大切なのは、今の状態と費用、選べる方法を把握したうえで、意識して保留することです。何も分からないまま放置することとは大きく違います。

空き家がある人が今すぐやるべき5つのこと

1.所有者と相続人を確認する

固定資産税の納税通知書、登記事項証明書、遺言書、遺産分割協議書などを確認します。

相続登記は2024年4月1日から義務化されており、過去に発生した相続も対象です。原則として、不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。2024年4月1日より前に相続と不動産の取得を知っていた場合は、2027年3月31日が期限です。

参考:法務省「相続登記の申請義務化について」

2.現在の状態を写真で残す

外壁、屋根、雨どい、窓、塀、庭木、郵便受け、室内、水回りを確認し、日付が分かる形で写真を残します。

遠方に住んでいる場合は、家族や管理事業者に定期確認を依頼する方法もあります。

3.「管理・活用・賃貸・売却・解体」の方向性を仮決めする

最終決定でなくても構いません。「少なくとも1年間は管理する」「売却価格だけ確認する」「賃貸に必要な改修費を調べる」など、次の行動を一つ決めます。

4.維持費と処分費を見える化する

固定資産税、保険料、草刈り、清掃、修繕、家財処分、解体、測量など、今後かかる可能性のある費用を並べます。

売却価格だけでなく、持ち続ける費用と比較することで、判断しやすくなります。

5.契約や工事の前に、補助制度を確認する

防府市では、空き家バンクに関係する改修費補助や、危険・老朽空き家の解体費補助などが設けられています。

2026年度の危険空き家等解体費補助金は、補助対象経費の2分の1以内で、危険空き家は上限50万円、老朽空き家は上限25万円です。ただし、事前判定や申請が必要で、交付決定前に契約・着工すると対象外になります。受付期間や予算にも限りがあるため、必ず最新情報を確認してください。

参考:防府市「危険空き家等解体費補助金」防府市「空き家利活用改修費補助金」

相続が絡む空き家は、不動産だけでは解決できない

空き家を売りたいと思っても、登記名義が亡くなった方のまま、相続人が分からない、遺産分割の話がまとまっていないといった状態では、すぐに進められないことがあります。

空き家問題では、それぞれの専門家が担当できる範囲が異なります。

主な内容 相談先の例
紛争性のない相続関係の整理、遺産分割協議書・各種契約書、官公署へ提出する書類の作成 行政書士
相続登記、所有権移転登記 司法書士
売却・賃貸の仲介、価格査定 宅地建物取引業者
譲渡所得、相続税などの税務判断・申告 税理士
相続人間の争い、行政処分や民事上の紛争 弁護士
境界の調査・測量、表示登記 土地家屋調査士

行政書士は、官公署へ提出する書類、権利義務や事実証明に関する書類を作成し、紛争のない段階で手続きを整理する役割を担います。ただし、登記申請、税務申告、裁判や紛争の代理など、他の資格者に限られる業務は行えません。

参考:日本行政書士会連合会「行政書士の業務」

大切なのは、一つの専門家だけですべてを抱えることではなく、状況に応じて適切な専門家につなぐことです。

空き家は「売ると決めてから」ではなく、「迷っているとき」が相談のタイミング

今回の空き家税は、現時点では寝屋川市独自の制度です。防府市の空き家に、明日から新しい税金が加算されるわけではありません。

しかし、防府市でも管理不全空家への指導・勧告、固定資産税等の住宅用地特例の解除、特定空家への命令や行政代執行は、すでに制度として存在しています。

「親の家だから手放しにくい」

「家財や仏壇が残っている」

「兄弟に話を切り出しにくい」

「売れる家なのか分からない」

そうした事情があるのは珍しいことではありません。だからこそ、問題が起きてからではなく、まだ選択肢が残っているうちに現状を確認することが大切です。

空き家の相談は、売却や解体を決断する場ではありません。将来の負担を増やさないために、選択肢を整理する場です。

「いつか考える」を、「まず一度確認する」に変えることが、家と家族を守る最初の一歩になります。

よくある質問

Q1.2026年から全国で空き家税が始まったのですか?

いいえ。今回可決されたのは寝屋川市独自の条例案であり、全国一律の新税ではありません。寝屋川市でも、総務大臣の同意などを経て、早ければ2029年度の課税開始を目指している段階です。

Q2.防府市の空き家にも新しい空き家税がかかりますか?

2026年7月10日現在、防府市が寝屋川市と同様の空き家税を導入するという公式発表は確認されていません。ただし、管理不全空家等として勧告を受けると、既存の固定資産税・都市計画税の軽減措置が受けられなくなる可能性はあります。

Q3.空き家にすると固定資産税が必ず6倍になりますか?

いいえ。人が住んでいないだけで、直ちに6倍になるわけではありません。管理不全空家や特定空家として勧告を受け、住宅用地特例から外れた場合に、200㎡以下の土地部分の固定資産税の課税標準が最大6倍相当になる可能性があります。実際の納税額全体が必ず6倍になるという意味ではありません。

Q4.売りに出していれば、寝屋川市の空き家税はかかりませんか?

公表情報では、売却活動や賃借人の募集を始めてから1年を経過していない物件などは対象外とされています。ただし、制度の詳細や申告方法は、条例の公布後に寝屋川市の公式情報で確認する必要があります。

Q5.行政代執行で解体された場合、費用は払わなくてよいのですか?

いいえ。行政代執行は無料の解体制度ではなく、原則として所有者に費用が請求されます。支払わない場合、法令に基づく強制徴収の対象となることがあります。

Q6.空き家をどうするか決めていなくても相談できますか?

相談できます。むしろ、管理・活用・賃貸・売却・解体のどれが合うか決められない段階で、建物の状態、相続関係、費用、制度を整理することが重要です。


記事内容の基準日:2026年7月10日

本記事は一般的な情報提供を目的としています。制度の内容や補助金の受付状況は変更される場合があります。個別の税額、相続、登記、紛争等については、市区町村または各分野の専門家へご確認ください。

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